プロの学校

なんでもできる平均人(ジェネラリスト)より、これが強みだというプロフェッショナルを目指せ! プロの自分をつくる極意を伝授。 成長を続けるための「心・技・体」入門。

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07/26のツイートまとめ

HideoAmazaki

I liked a @YouTube video http://t.co/b3jNtKWPXf タイ生命保険のCM~チウおじいさん(字幕付き)
07-26 12:42

次の @YouTube 動画を高く評価しました: http://t.co/TyjATmSq5S 野洲高等学校 サッカー部 2013PV
07-26 08:51

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働く人を幸せにする会社3

働く人を幸せにする会社3


いつでもどこでもトンで行く、

電化のヤマグチ



image_20130720213253.jpg



皆さんは、電化のヤマグチという
電気屋さんをご存知でしょうか。

町田市にある本当に普通の電気屋さんです。


image_20130720214001.jpg



町田市には、
ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、
ビックカメラといった家電量販店が乱立し、
安売り競争はし烈を極めました。

そうした中で、
家電量販店よりもかなり高い価格で販売して、
お客様から喜ばれている街の電気屋さんが、
でんかのヤマグチです。

先日、三菱総合研究所の講演会で、
山口社長のお話をお聞きすることができました。


image_20130720213712.jpg




メディアにも取り上げられていますし、
本も書かれていますので、
御存知の方もいると思いますが、
一見すると本当に、にこやかで、
仕事の後の一杯が最高という…
いい意味で、
街の電気屋さんの親父でした。

しかし、
お話を伺うと壮絶なご苦労を
されてきたことがわかります。


image_20130720213257.jpg




この地図のように、
周囲を完全に家電量販店に包囲され、
若いお客様からどんどん逃げてゆきました。
パパママストアなら何とかなるでしょうが、
中途半端な規模の電気屋がどう対応するかを
来る日も来る日も考えたそうです。


もちろん、
メーカーも、コンサルタントにも
相談しましたが、答えはありませんでした。


山口社長は、

3年間眠れぬ日々を過ごし、
社員を路頭に迷わせることなく、
生き残りを賭ける方法を考え抜いた


…と言います。


そして、
考えに考え抜いた結論が、
常識ではあり得ない物凄い決断でした。

山口社長は、こう言います。

量販店の最大のポイントは、
安さが売り物だ。

周りの電気店は、
量販店に近づける価格設定にしていた。

そうであれば、
ヤマグチは、安売りでなく、
「高売り」でいくと腹をくくった。

売上が3割ダウンを想定して、
粗利10%アップしてカバーする。

家電量販店の粗利が、15%
街の電気屋が、25%。

ヤマグチは、10年かけて35%にする
と決めた。

結果、
粗利は、7年目に、34.7%となった。


image_20130720213258.jpg





ヤマグチと家電量販店の価格差は、
このようになっています。


image_20130720213254.jpg




では、
なぜこのような価格でも
販売ができるのでしょうか。


山口社長は、
生き残りを賭けて、
大胆に顧客を絞り込みました。

若い顧客は量販店へ向かうので、
追いかけるのをやめ、
55歳-85歳のシニア世代に絞ったのです。

特に、
70ー90歳のお客様を
メインのお客様とした
のです。

本当に、
電化製品のリテラシーが低い
高齢者を対象にして、
電化製品が売れるのでしょうか。

電化のヤマグチは、
電気製品を売るのではなく、
サービスを売ることにしたのです。

山口社長は、
こう言います。

電気製品以外でも、
呼ばれたら飛んで行きます。

それ以外に、裏サービスを徹底します。

例えば、
庭の水やり、ペットのエサ、
部屋の模様替え、買い物代行…
などなど。

普段そうしたことで関係を作れば、
次に買う時は、値切ることはありません。



つまり、
かゆいところに手が届くサービス、
孫の手のようなお店
をめざしたのです。

それが、電化のヤマグチなのです。

そうは言っても、
お年寄りの方は、
お金がない、年金生活だから、安くして…
というそうです。

しかし、
山口社長に言わせれば、
それは、お年寄りの挨拶なのだそうです。

だから、

決めつけるな、
高くてもより良いものを勧めよ


と言うのです。


電化のヤマグチのホームページに、
こんなことが書かれています。

電化のヤマグチさんのホームページ



1.電球一個の交換でもトンデ行きます!

2.エコポイントの手続きのお手伝いもします!

3.録画予約もします。
高齢者には難しい録画予約やリモコン操作、
今日のドラマの番組予約もトンデ行きます!

4.冷蔵庫が壊れたら、修理の前に、
クーラーボックスに氷を入れて、
エアコンが壊れたら扇風機を
持ってトンデ行きます!

5.頼まれれば、営業車で駅まで送ります!

6.頼まれれば、簡単な水回りの修理もやります!

7.頼まれれば、部屋の中の模様替えのタンス
の移動もお手伝いします!

8.頼まれれば、「ペットの餌やり」、
「庭の水まき」、「留守の見回り」もやります!

更には、

両替OK、駐車場の開放、トイレの開放、
店内電話利用OK、救急箱、
地域の詳細地図観覧サービス、
AED設置、店内コーヒーサービス、
雨の日の傘貸し、
雨の日のささやか券発行(100円の金券)など、


店舗でも至れり尽くせりのサービスを行なっています。

お客様にお役に立てることは、
考えられる限りすべて行うという徹底ぶりです。

山口社長が、社員に書かせているのが、
サービスの記録シート

講演会で見せて頂いたシートには、

○○さん、合鍵を預かり、
訪問するとエアコンを付けっ放しなので消した

…とありました。

どんなに親しくても、
電気屋さんの店員さんに、
合鍵を預ける人が本当にいるのでしょうか。

でも、
これは事実です。

電化のヤマグは、
街の便利屋さんであり、
相談できる人であり、
安心して信頼できる担当者

になっているのです。

ではなぜ、
周囲の店が同じことをしないのでしょうか。

山口社長は、こう言います。

いい話は、
なかなか広がらないものです。
ゆっくり、ゆっくり、口コミで伝わるものです。

私たちも、こんなことを10年続けて
ようやく広がったのです。


ある御宅で、
お祖父さんが亡くなる時、
遺していくお祖母さんに、
何かあったら、ヤマグチさんに
相談しなさい
」と言い残したという
逸話もあると聞きました。

地域と密着し、電気製品に限らず、
何でも相談され、信頼される人、
それが電化のヤマグチの社員なのです。

ヤマグチにとって、
電化製品は、売って終わりではなく、
売ってから商いが始まる、
長いおつきあいが始まる
のです。


お客様とこんなおつきあいのできる会社も
働く人を幸せにする会社なのではないでしょうか。


天崎 拝



◆今日出逢った素敵な言葉◆


何かあったら、
ヤマグチさんに相談しなさい。





でんかのヤマグチさんが「安売り」をやめたワケでんかのヤマグチさんが「安売り」をやめたワケ
(2010/11/15)
山口 勉

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なぜこの店では、テレビが2倍の値段でも売れるのか? ~「でんかのヤマグチ」の高売りの極意~なぜこの店では、テレビが2倍の値段でも売れるのか? ~「でんかのヤマグチ」の高売りの極意~
(2013/02/19)
山口 勉(でんかのヤマグチ代表取締役社長)

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よそより10万円高くてもお客さんが喜んで買う「町の電器屋さん」が大切にしていることよそより10万円高くてもお客さんが喜んで買う「町の電器屋さん」が大切にしていること
(2012/02/17)
山口 勉

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働く人を幸せにする会社2

働く人を幸せにする会社2



マジンガーZの格納庫を
作ったらいくらになるか?



こんなことを真剣に考えている会社があります。


その会社とは、前田建設工業です。

前田建設工業には、
ファンタジー営業部という素敵な
ホームページがあります。

image_20130720200815.jpg


前田建設工業、ファンタジー営業部のホームページ



そもそも、建設業界のファンを獲得することを
目的にスタートしたホームページだそうですが、
ここで取り上げているテーマは荒唐無稽です。

例えば、

機動戦士ガンダムの巨大基地をつくる

マジンガーZの格納庫をつくる

銀河鉄道999の宇宙高架橋をつくる

などアニメーションの世界を現実に
持ち込んで、どう実現するかを
真剣に考えています。

ただし、
前田建設に「ファンタジー営業部」
という部門があるわけではありません。

ファンタジー営業部とは、
2003年2月にスタートしたホームページの
企画名称です。

この企画に関わる担当チームの名称だそうです。

ホームページでは、
アニメやゲームに登場する構造物を
実現するために必要な概算費用や
工事期間を検討する過程が、
連載企画として公開されています。

前田建設工業、広報部長の岩坂氏は、
こう言います。


アニメの世界だから、
ゲームの世界だからと軽んじるのではなく、
もし前田建設が実際に受注した場合に、
実現可能なのか、実現可能であれば、
費用はいくらかかるのか、
期間はどれだけ必要なのかを、
大まじめに考えてみようということから
スタートした企画であり、
早いもので10年目を迎えた。




主な検討物件は、

マジンガーZの格納庫を
作ったらいくらになるのか?(2003年)


前田建設ファンタジー営業部1 「マジンガーZ」地下格納庫編 (幻冬舎文庫)前田建設ファンタジー営業部1 「マジンガーZ」地下格納庫編 (幻冬舎文庫)
(2012/03/21)
前田建設工業株式会社

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銀河鉄道999の地球発進用高架橋(2004年)


前田建設ファンタジー営業部2 「銀河鉄道999」高架橋編 (幻冬舎文庫)前田建設ファンタジー営業部2 「銀河鉄道999」高架橋編 (幻冬舎文庫)
(2012/03/21)
前田建設工業株式会社

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グランツーリスモ4のサーキット(2005年)

世界初!ロボット救助隊を創ろう(2006年)

機動戦士ガンダムのジャブロー基地(2010年)

宇宙戦艦ヤマト2199の発進準備工(2012年)など。



なぜこのような企画が、
10年も続いているのでしょうか。


岩坂氏は、こう続けます。


技術や業務の中身を広く、
楽しく、分かりやすく周知したい
という思いが共感を得たためです。



このファンタジー営業部の目的は、
大きく3つあります。

建設業界前田建設のファンを増やすこと、
優秀な人材を獲得すること、
社内の若年技術者の活性化を図ること

…だそうです。


では、
このプロジェクトは、
誰がどうやって始めたのでしょうか。

ファンタジー営業部は、
トップダウンの企画ではないのです。

現場の担当者が中心となり、
建設業の広報業務を見直さなければならない
という問題意識のもとに、
社員の力で実現した企画なのです。

この企画を実現するにあたって、
これが会社のプロジェクトたりうる
ものなのかということが真剣に議論されました。

そして、
まず基本的なコンセプト、
誰に対して、
どのような手段で、
広報活動を展開するか
を明確にすることから始めました。

予算もなく、
アニメとの親和性を考え、
ウェブを使い、
メインターゲットを40歳代の男性としました。

アニメ作品と構造物を選定し、
アニメを題材とすることから、
原作者と著作権者への配慮が大変であったようです。

そして、
実際に工期・工費を算出し、
どう公開するかを議論しました。

特に、工費の公開について、
上層部の説得には時間がかかったようです。

広告代理店に相談したところ、
数千万円が必要という話となり、
あきらめて帰ろうとしたところ、
担当者から“原作者が許可をしたら
広告代理店は何も言えない”という話を聞き、
ダイレクトに原作者にコンタクトをとったそうです。

そこから、
いざ、構造物を作ろうとすると、
メンバーから「重工や設備などはどうするのか?」
という前田建設だけでは実現できない問題が、
真剣に指摘されました。

実際に、検討を進める過程で、
いくつかの壁に突き当たり、
建築技術者から大まじめに、
“実現できるわけない”という怒りの声も
上がったそうです。

10年経った今も、
ロボット救助隊やドミノ・ピザの月面出店計画、
50年後の百貨店の創造…
など新たな空想建設計画がどんどん出ています。

ファンタジー営業部のホームページに、
こうあります。

なお、
本企画は「夢は実現する」という
スーパーポジティブな考えの上で
書かれておりますことを、
予めご了承ください。


image_20130720200816.jpg

前田建設工業は、

夢は実現すると
真剣に考えている会社

なのです。

こんなことを考えている会社も、
働く人を幸せにする会社の一つ
なのではないでしょうか。


天崎 拝


◆今日出逢った素敵な言葉◆


image_20130720200818.jpg


なお、

本企画は「夢は実現する」という

スーパーポジティブな考えの上で

書かれておりますことを、

予めご了承ください。


前田建設工業、ファンタジー営業部

| プロフェッショナルマネージャーの作法 | 08:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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働く人を幸せにする会社

働く人を幸せにする会社




ニューヨークにあるライフスタイル製品を扱う
「HOLSTEE」という会社があります。


sustainability(持続可能性、地球に優しい)
をモットーにしており、
より良いデザインの服や小物を
作って販売することを目指している会社です。


その会社のマニフェストが、
非常に心を打つ内容になっています。

彼らは、起業にあたり、
最初に「事業計画」を書くのではなく、
このマニフェストを決め、
会社の事業指針として掲げました。

非常に素敵な文章ですので、
ご紹介させて頂きます。



image_20130720191744.jpg



【HOLSTEEのマニフェスト】



This is your life.

これはあなたの人生です。

Do what you love, and do it often.

自分が好きなことをやりなさい。
そして、どんどんやりなさい。

If you don't like something, change it.

何か気に入らないことがあれば、
それを変えなさい。

If you don't like your job, quit.

今の仕事が気に入らなければ、
辞めればいいのです。

If you don't have enough time,
stop watching TV.

時間が足りないのなら、
テレビを見るのを止めなさい。

If you are looking for the love of your life, stop;

人生をかけて愛する人を探しているなら、
それも止めなさい。

They will be waiting for you
when you start doing things you love.

その人は、あなたが好きなことを
始めたときに現れます。

Stop over analyzing, life is simple.

考えすぎるのを止めなさい、
人生はシンプルです。

All emotions are beautiful.

すべての感情は美しい。

When you eat, appreciate every last bite.

食事をするときは、最後の一口まで味わいなさい。

Open your mind, arms,
and heart to new things and people,
we are united in our differences.

新しいことや人々との出会いに、
心を、腕を、そしてハートを開きなさい。
私たちは、お互いの違いを許容して、
結びついているのです。

Ask the next person you see what their passion is,
and share your inspiring dream with them.

自分のまわりの人々に、
何に情熱を傾けているか聞きなさい。

Travel often: getting lost will help you find yourself.

たくさん旅をしなさい。
道に迷うことで、
新しい自分を発見するでしょう。
(道に迷うことで自分自身を発見するのだから)

Some opportunities only come once, seize them.

ときにチャンスは一度しか訪れません。
しっかり掴みなさい。

Life is about the people you meet,
and the things you create with them

人生とは、あなたが出会う人々であり、
その人たちとあなたが創るもの。

So go out and start creating.

だから、いますぐ待つことなく創りはじめなさい。

Life is short.

人生は短い。

Live your dream, and wear your passion.

情熱を身にまとい、自分の夢を生きよう。




このマニュフェストは、
SNSで50万回以上共有され、
6億ページビューを超えたといいます。

このYouTubeをご覧下さい。

Holstee


会社はこれをポスターにして
販売もしています。

image_20130720191238.jpg



人生において、
なにかにつまずいてしまった時、
勇気や自信を失っている時、
今までの自分と少しだけ変えたいと思った時、
これらのことばを声に出してみると
世界が変わるような気がします。

こういう思いをマニュフェストに持つ
会社で働く人たちは、
一体どんな生き方をしているのでしょうか。

きっと、
自分の人生は、
自分でつくるものなのだ

ということを信じて生きているのでしょう。

決められた毎日ではなく、
自分のやりたいこと、
やるべきこと、
できることを選んで生きる
のでしょう。

本当の幸せというのは、
そういう生き方を選ぶことなのだと思います。

そして、
こんな会社が、
働く人を幸せにするのではないでしょうか。


天崎 拝



◆今日出逢った素敵な言葉◆

Life is about the people you meet,

and the things you create with them

人生とは、あなたが出会う人々であり、

その人たちとあなたが創るもの。


この動画も素敵です。

ぜひご覧下さい。

Holsteeの動画です。


image_20130720191746.jpg

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07/21のツイートまとめ

HideoAmazaki

お好みの「ポメラ」が10名様に当たる!「ポメラ」総選挙キャンペーン! | キングジム/KINGJIM - Crocos懸賞 https://t.co/L9MZEtVGhT @crocos_presentさんから
07-21 06:33

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07/20のツイートまとめ

HideoAmazaki

I favorited a @YouTube video http://t.co/Q5c40B610T The Holstee Manifesto: Lifecycle Video
07-20 19:07

I liked a @YouTube video http://t.co/Q5c40B610T The Holstee Manifesto: Lifecycle Video
07-20 19:07

I liked a @YouTube video http://t.co/4lKc3nV3Zn The Holstee Manifesto: Typography Video
07-20 19:07

3冊まとめて読みましたが、連続ドラマのようなスリリングな展開でした。 http://t.co/q2NQ5XqxmI
07-20 14:40

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マクドナルド原田CEOに学ぶ、戦略のシーケンス5

マクドナルド原田CEOに学ぶ、

戦略のシーケンス5



戦略のシーケンスは、

切れ目なく続く



ここまで、4回続けて
マクドナルド原田CEOに学ぶ戦略のシーケンス
について書いてきました。

2013年2月に前年の決算説明会で、
7期ぶり営業減益が発表されました。

image_20130629235641.jpg


原田社長は、

2004年から11年まで既存店売上高は、
8期連続プラスの業績だった。
12年12月期は9期ぶりに減収減益で終わった。
今年は増益を目指すということだ。

と語っています。

営業減益決算となるのは、
05年12月期以来7年ぶりです。
既存店売上高も前期比96.7%と、
原田氏が04年にトップに就任して以来、
初の減収に転じたわけです。

店舗数をみると、
出店101、退店119(前期は各101、105)、
12月末店舗数3280と、減らしています。

今回の営業減益の最大の要因は、
値引き戦略の行き詰まり
と高価格商品の不振
であると考えられます。

マクドナルドは、
これまで100円コーヒーや100円マック、
値引きクーポンなどで顧客を集めて、
顧客数を確保してきました。

そして、
リピーターには、
600円台のセットメニューなど
高価格商品を売り込む戦略で、
売上高を伸ばしてきました。

原田氏が社長に就任した04年以降、
05年「えびフィレオ」、
07年「メガマック」、
08年「クォーターパウンダー」といった
高価格商品を投入し、
既存店売上高はプラスを維持してきました。

これはまさに、
戦略のシーケンス、ストーリーある
打ち手の順序の成功事例でした。

しかし、
10~11年の「ビッグアメリカ」
ハンバーガー投入後から、
高価格商品は勢いを失い始めてきました。

特に、
12年夏の、世界のご当地バーガーを
複数販売した「世界の★★★マック」
キャンペーンは売れ行き不振から、
開始わずか2週間あまりで、
セット価格を100円近く値下げせざるを
得ない状況に陥りました。

これは夏場の不需要期に、
このような大型商品を投入するという
マーケティングの失敗であり、
また、未だ消費低迷が収まっていない中での
行き過ぎた高価格戦略の失敗でもありました。

また、
新規客を呼び込むための低価格商品についても、
100円メニューの拡充に加え、
集客増を狙った値引きキャンペーンを多用し過ぎた点も
見過ごせません。

image_20130629235448.jpg


たとえば、ビッグマック(300円前後)を
200円にする割り引きキャンペーンは、
07~09年に1回実施しただけでしたが、
10~12年では5回も実施しています。

そのおかげで、
集客効果はあったものの、
その後も単品購入にとどまってしまい、
高価格商品の拡販には結びつきませんでした。

一番の売れ筋商品を多頻度ディスカウントして
集客するというのは、決して良い戦略とは言えません。

結果として、
10年以降、客数は伸び続けるものの、
客単価の下落が続いています。

客数増加を前提に、行き過ぎた低価格で
集客を図るという戦略にはストーリーを感じません。

残念ながら、マクドナルドには、
マクドナルドの値ごろ感というものがあると思います。

マクドナルドの本来の顧客は、
500~600円のセットメニューを
求めているように思います。

ところが客数と利益を稼ぐために、
100円商品や無料配布を拡充して、
700円台のセットメニューを投入しても、
それには目がいきません。

結果、700円の高価格メニューは伸び悩みました。

結局、
100円マックは、本来の顧客ではない人、
あるいは、商品が欲しくない人にまで
売り込んでいるように見えてなりません。

2013年12月期の見込みを
売上高2695億円(前期比8.6%減)、
営業利益252億円(同1.7%増)としています。

これをFC化や閉店の推進により減収ながらも
増益を目指すとしています。

しかし、
既存店浮揚策の切り札として1月に実施した、
商品を60秒以内に提供できればコーヒー無料券、
できなかったらビッグマックなどの無料券を配る
「ENJOY!60秒サービス」キャンペーンを展開したが、
1月の既存店売上高は83%と空振りに終わりました。

その後の過去のヒット商品をそろえた
「ビッグアメリカオールスターズ」や、
無料配布に頼った「フリーマンデー」なども
結果的には、精彩を欠くものとなっています。

果たして今後も、
従来型の無料クーポン券の配布や
FC転換の推進でこの先を乗り切ることが
できるのでしょうか。

また、2014年、15年には連続消費増税という
厚い壁が待ち構えています。


原田社長は、こう言っています。


インテンションとエグゼキューションには、
隔たりがあります。

それを埋めていくのが、
組織と人の成長エンジンなんです。

経営というのは、
大きな組織集団を動かすことです。
動かすためには、コミュニケーションが必要です。

一番大切なことは、
複雑なことをシンプルに伝えて、
どのように期待する行動に結びつけていくか
という視点です。

確かに、
インテンション、やりたいことを
すぐに実行、エグゼキューションできる
機動的な企業はそれほどありません。

再び高成長路線に復帰できるのか、
マクドナルドの戦略のシーケンスは、
まだまだ続きます。

冷静な論理と熱い情熱の持ち主、
原田社長率いるマクドナルドの戦略は、
いったいどこに向かうのでしょうか。


天崎 拝



◆今日出逢った素敵な言葉◆

インテンションと

エグゼキューションには、

隔たりがあります。




成功を決める「順序」の経営 ―勝つためには戦略の順番を間違えるな (日経ビジネス経営教室)成功を決める「順序」の経営 ―勝つためには戦略の順番を間違えるな (日経ビジネス経営教室)
(2013/05/31)
原田泳幸

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大きく、しぶとく、考え抜く。―原田泳幸の実践経営論大きく、しぶとく、考え抜く。―原田泳幸の実践経営論
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勝ち続ける経営 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論勝ち続ける経営 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論
(2011/12/07)
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マクドナルド原田CEOに学ぶ、 戦略のシーケンス4

マクドナルド原田CEOに学ぶ、

戦略のシーケンス4




発想は大胆に、実行は慎重に




「どん底」であったマクドナルドを
いかに復活させたのか、
原田氏の新著、「成功を決める順序の経営」
をベースに思うことを書き連ねています。


成功を決める「順序」の経営 ―勝つためには戦略の順番を間違えるな (日経ビジネス経営教室)成功を決める「順序」の経営 ―勝つためには戦略の順番を間違えるな (日経ビジネス経営教室)
(2013/05/31)
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これまでのポイントは、

1.戦略の本質は、順序である

2.戦略には、ストーリーが必要である

3.数字やデータだけでは、答えは出ない

の3点でした。

今日の一つ目のテーマは、


発想は大胆に、実行は慎重に


です。


前回、
らしさを忘れないイノベーション
について触れました。

つまり、
原点回帰と未来進化は、
同時進行が必要
だということです。

ただし、イノベーションには、
投資、つまり、資金、人材が必要
です。
それを限られた資源の中でどこから捻出するかは、
大きな課題です。


image_20130629234340.jpg


マクドナルドの原田社長は、こう言います。

何のコストを削減しないといけないのかではなく、
お金を使えば新しく何ができるかを
考えてアイデアを持って来て欲しい。


確かに、
改革するといえば、大抵の場合、
コスト削減から始めることになります。

原田社長は、それに対して、

そんなの誰だってできますよ。
コスト削減ほど易しい経営はない。
僕はこう言うんです。

コストをカットをするな。
もっとお金の使い方の提案を持ってこい。
お金を使ってもっと売る方法を考えろ、
ということですね。

経営とは、要はお金の使い方を考えることだ
と私は思っているんです。



ただ単にコストカットするのではなく、
カットしたコストをどこにどうやって再投資するのか、
経営資源をいかに賢く再配分し、再配置するのかが、
本当のリストラであり、経営の要諦なのです。

こう考えると、
経営戦略とは、打ち手実行のシーケンスを
考えることであると同時に、
経営資源の再配分、再配置の順序を
考えることである
とも言えます。

多くの場合、
経営にとってやるべきことは、
はっきりしていますが、
一度にできないことが多くあります。

また、課題そのものが、
売上拡大とコスト削減、
品質向上と量的拡大というように
相互に矛盾していることが、
難しさを生んでいるわけです。

では、
そういった矛盾をはらんだ課題を
どうしたら解決できるのでしょうか。

それは、
戦略を考える人間が、事業そのものに対して、
オーナーシップを持つということしかありません。

オーナーシップとは、
経営者としての立ち位置であり、
自分がビジネスのオーナーであると
自分事として捉える、その姿勢
です。

それがなければ、
ストーリーは描くことなどできません。

仮にできたとしても、
無責任な画餅に過ぎないもの
にしかならないでしょう。

原田社長は、これを、

俺がこのビジネスを動かしている
というマインドセット

だと言っています。

そして、
そこから生まれる打ち手、
顧客の心を引くだけの戦略とは、

いい意味でお客様の期待を裏切ること。
お客様驚かせることです。


どうしたら、
お客様を驚かせることができるのでしょうか。

お客様の期待をはるかに超えるサービス
それが提供できなければならないはずです。

顧客が驚くほどの高いハードルを
どうやって超えることができるのでしょうか。

原田社長は、

情熱には冷静を、冷静には情熱を

と言います。

これが今日の二つ目のテーマです。


情熱には冷静を、冷静には情熱を



シーケンスの戦略は、
仮説検証型の実践の連続
でもあります。

ですから、
たくさんのトライアルが必要となります。

原田社長はこう言います。

成功の10倍は失敗する。
やってみて検証すればいいし、
その結果間違っていれば変えればいい。

間違っても、なるほどと言わせる勢い、
信じさせる力がリーダーシップだ。


経営者には、これだけの決意と覚悟がなければ、
人はついてこないということです。
しかし、それだけではいけません。

原田氏は続けます。

同時に、
ゴルフコーチのように、
客観的に自分を見つめる外の目も必要だ。

発想は大胆に、そして、実行は慎重に、
ということだ。


原田社長は、就任時に社員を集め、
真っ赤なバスの映像を映し出し、
こう言ったそうです。

乗ると自分で決めたからには、
バスの運行のために全力をつくせ。

そして、それができないならば、
乗らなくていい。
乗るものには覚悟を求め、
覚悟を持てぬものは去れ。


この気迫と覚悟がなければ、
イノベーションも、戦略の実行も
進むことはありません。


天崎 拝


◆今日出逢った素敵な言葉◆


成功の10倍は失敗する。

やってみて検証すればいいし、

その結果間違っていれば、

変えればいい。

間違っても、

なるほどと言わせる勢い、

信じさせる力が、

リーダーシップだ。




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マクドナルド原田CEOに学ぶ、戦略のシーケンス3

マクドナルド原田CEOに学ぶ、

戦略のシーケンス3



数字やデータだけでは、答えは出ない



マクドナルドCEO、
原田泳幸氏の就任後から
7年連続で売上拡大し、
10年12月期決算では経常利益も
上場以来最高益を更新した軌跡を辿っています。

原田氏は、「どん底」であったマクドナルドを
いかに復活させたのか、
原田氏の新著、「成功を決める順序の経営
をベースに考えています。



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第一話では、
就任して連続して打ち出した、

QSC向上⇒100円メニュー⇒値上げ

…という一連の戦略の打ち手の順序、
シーケンスは、偶然ではなく、
必然だったという点に触れました。

つまり、戦略というのは、
まるで、ジグソーパズルを1つひとつ組んでいくように、
実行のシーケンスを考えることが重要だ

ということです。

そして、第2話では、
打ち手には因果関係が必要で、
それも強く、太く、長く、一貫性を持って、
つないでいかなければならず、
個々の打ち手に時間軸を入れて、
その順序を考えることが重要になる

いうことに触れました。

それが戦略のストーリーです。

ストーリーというのは、
個別の戦略の順序に、因果関係と相互作用を考えて、
ひとつ一つの点である打ち手をつなぎ合わせ、
一つの線にします。
次に、その線を次の打ち手につなげて、
面にしてゆきます。
そして、最後にその面をつないで立体にしていく、
この流れで、戦略の立体構造をつくっていきます。


ここで重要なのは、
ひとつ一つの打ち手は、
当たり前のことだ
ということです。
決して奇策ではありません。
戦略に、「消える魔球」などは存在しないのです。

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それでは、それらの打ち手を
どこから導き出せばいいのでしょうか。

マクドナルドの原田社長はこう言います。


何か新しいことを始めようという時には、
徹底してデータを集めて検証しながら
物事を進めます。

だから数字は大好きですよ。
無機的に見える数字の羅列には、
本当は有機的な意味が隠されていますから。



つまり、
仮説をデータで徹底的に検証する
ことだということです。

確かに、原田氏の言うように
QSCの徹底で、顧客満足度を上げる、
従業員満足度を上げ、定着率を上げる
100円Mac、ドライブスルー、24時間営業で、
客数を上げる、
クウォーターパウンダーなどで客単価を上げる、
戦略的閉店で効率を上げ、コストを下げる

など、マクドナルドの戦略は、
徹底的に数字の裏付けをとり、
見える化されています。

しかし、
原田氏は、こうも言います。

数字やデータだけでは答えは出ない。
もっとはっきり言えば、
リサーチデータだけで戦略を立ててはいけない。


非常に矛盾したことに聞こえるかもしれませんが、
これはよくある落とし穴と言えます。

人口統計で、14歳以下の人口が減少する、
高齢者者が増えるというデータがあります。
これは間違いのない事実です。
また、健康志向というトレンドも明確にあります。

ここから、ヘルシーでボリュームのないメニューが
必要だという結論は容易に得られます。

しかし、現実にマクドナルドで一番売れているのは、
ビッグマックであり、メガマックやクウォーターパウンダー
といった商品を揃えています。
マクドナルドに高齢者が通って、
ヘルシーなサラダやベジタブルバーガーを食べるという
光景は、今は想像ができません。

むしろ、
子供に目を向けて、子供の好きなボリュームのある
メニューを揃え、おもちゃやDSとひもづけしていくことを
しています。

私もそうですが、小学生の時に初めてマクドナルドの
ハンバーガーを食べて、美味しいと感じました。
ですから、子供ができても一緒にマクドナルドに行きます。

子供の時に美味しいと感じたものは、
大人になってもやはり美味しいと感じる
のではないでしょうか。

ハンバーガーとフライドポテトは、
健康に良くないとよくいわれますが、
それはバランスの問題であり、
それしか食べないような食生活でないかぎり、
問題があるとは言えません。

ですから、無理に健康志向のメニューを
取り入れなくても、ターゲットが明確であれば、
選択するのは顧客であるということでしょう。

つまり、
本当に顧客が求めているものは、
アンケートや調査では出てこない
ということではないでしょうか。

本田宗一郎氏も、

この世で一番信用できないのが、
市場調査のアンケートだ。

と言っていたのも、同じ考えだと思います。

本当に、顧客自身が気づいていない
深層的ニーズは、アンケートや市場調査では
捉えられないのです。

この世の中に存在しないもの、
体験したことのないものについて、
お客様が正確に答えることは出来ないのです。

では、
どうやってこの世に存在しない新たなニーズを
発見できるのでしょうか。


それは、
深層のニーズ、潜在的なニーズを見抜く
ビジネスインサイト、

すなわち経営的な洞察です。

ビジネスインサイトとは、
何でしょうか。

流通科学大学の石井淳蔵学長は、
その著書、「ビジネスインサイト」で
こう言います。

経営者は跳ばなければならない。

与えられた状況の中でやるべきこと、仮説を考え、
その一つひとつを現実の事実で検証し確かめる。

そして、経営の指針を立て確実に実行する。

それを繰り返すことで、経営の質は改善される。

それを可能にするのは、
経営者の「暗黙に認識する力」と
それを育む「対象に棲み込む力」である。





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(2009/04/21)
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ビジネスインサイトについては、
後日改めて触れたいと考えていますが、
経営者の直観というものが、
重要であることは間違いありません。


原田社長は、

知識や経験は、自身の中にある内なる
チェンジリーダーシップを封じるバリア
にもなってしまう。


と言います。

つまり、
イノベーションのジレンマであり、
成功の復讐というものが必ず存在する
ということでしょう。

それを克服するには、
新しい価値を生み出す方法を
考えて、考えて、考え抜いて、
これだと確信できるまで戦略を練りこんでいくこと。


そして確信できるものが出来上がったら、
後はそれを信じてひたすら実行するのみです。

実行して行く上で、
データは、成否を検証するための
重要な要素になるわけです。

原田社長は、一連の改革のテーマとして
「Back to the basic with innovative manner」
を掲げています。

つまり、
単なる原点回帰ではなく、
確信的な手法をもって、マクドナルドらしさに
立ち返るという挑戦的なメッセージなのです。

イノベーションというと
とかく現状否定で、
全く現状から離れたことをするように
考えがちですが、
本当の意味でのイノベーションは、
「らしさ」からそれない範囲の中で、
どんどん新しいことに、
チャレンジをしていくことなのです。

イノベーションは自己否定から始まります。
しかし、らしさを忘れてはならない
のです。

経営者やマーケターには、
冷徹に数字を捉える目と
数字では見ることのできないビジネスインサイトを
育むブレインとマインドが必要だ
ということなのでしょう。


天崎 拝


◆今日出逢った素敵な言葉◆

数字やデータだけでは答えは出ない。

もっとはっきり言えば、

リサーチデータだけで戦略を立ててはいけない。



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マクドナルド原田CEOに学ぶ、戦略のシーケンス2

マクドナルド原田CEOに学ぶ、

戦略のシーケンス2



戦略には、ストーリーが必要である



前回から、マクドナルドCEO、
原田泳幸氏の就任後、7年連続で売上拡大し、
10年12月期決算では経常利益も
上場以来最高益を更新した軌跡を辿っています。

原田氏は、「どん底」であったマクドナルドを
いかに復活させたのか、
原田氏の新著、「成功を決める順序の経営」
をベースに考えています。


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就任して連続して打ち出した戦略は、

QSC向上⇒100円メニュー⇒値上げ

という流れ、ストーリーがありました。

これを戦略のシーケンス、順序であり、
偶然ではなく、必然の打ち手であったと語ります。

マクドナルドの成功をみると
まるで、ジグソーパズルを
1つひとつ組んでいくように、
戦略実行のシーケンスを考えるのが、
まさに、経営戦略だ
ということがわかります。

客数の増加と客単価の向上も、
コストダウンとクオリティー向上、
どちらも二律背反の矛盾した課題であり、
同時展開するのは非常に難しいのです。

特に企業が、逆境に立たされている時ほど、
立て直す際の打ち手は限られていますので、
その打ち手の順序を間違えると
戦略は失敗してしまいます。

戦略のシーケンスとは、
ひとつ一つの打ち手に奇をてらうのではなく、
打ち手の順序を考え抜き、
その時間軸を重視することだ


と書きました。

そして、
この戦略のシーケンスは、
単なる順序ではなく、
ストーリーがあることが重要です。

ストーリーとは、何でしょうか。

個々の打ち手の間にある因果関係や
相互作用を重視する
視点です。

ストーリーは、

何枚もの静止画が、よどみなくつながった動画である

と言ってもいいでしょう。

その中でも、
優れたストーリーは、
様々な戦略の構成要素を一貫した論理で
きっちりとつながっています。

「ストーリーとしての競争戦略」の著者、
楠木建教授は、こう言います。

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ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
(2010/04/23)
楠木 建

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因果論理の一貫性には、
強さ、太さ、長さの3要素がある。

強さは、因果関係の蓋然性の高さ、
太さは構成要素の間をつなぐ因果関係の数の多さ、
長さとはストーリーの拡張性を示す。



そして、打ち手の因果関係を
強く、太く、長く、一貫性を持って、
つないでいくには、
打ち手に時間軸を入れて、
その順序を考えること

が重要になります。

それが戦略のストーリー。です。

そのストーリーの因果関係と相互作用で、
ひとつ一つの点である戦略をつなぎ、線にします。
次に、その線をつないで面にしてゆきます。
そして、最後にその面をつないで立体にしていく、
この流れで、戦略の立体構造をつくるわけです。

この、

点⇒線⇒面⇒立体

という流れが、ストーリーです。

ひとつ一つの打ち手は決して奇策ではありません。
戦略に、「消える魔球」などは存在しません。

当たり前の打ち手の組み合わせ、
すなわち、順序とストーリーが差別化を生み出すのです。

原田氏は、マクドナルドの戦略的成長のシーケンスを
次のような図で示しました。

image_20130630161945.jpg


「Back to the Basic with Innovative Manner」
(革新的な手法で基本に立ち返ろう)


というテーマを掲げてスタートし、
レストランビジネスの基本であるQSC(Quality,Service,Cleanlimess)を
高めることを徹底し、
マクドナルドらしさ”を追求して
業績回復をしてきたわけです。


2012年に掲げた新たなテーマは、


「Further Growth with Innovative Manner」
(革新的手法で更なる成長のステージへ)



というものです。

実はこのテーマを確立するための戦略が、
駅近などの都心部にあった小型店を
あえて閉鎖するという戦略的閉店でした。

売り上げダウンをしてでも、
設備の制約があったために、
十分なメニューやサービスを提供できない
これらの店舗を積極的に閉店していったのです。

今後さらに、1000~1200店を
入れ替えていく必要があるようですが、
入れ替わりとなって登場したのが、
「ゴールドスタンダード」と呼ばれる店舗です。

image_20130630162951.jpg


規模を拡大し、キッチンの生産能力を上げ、
郊外のドライブスルーを併設し大型店舗です。

多くの小売・外食店が都心や駅ナカなど
の小型店にシフトチェンジしているのを後目に、
全く逆のストーリーを描くマクドナルドの戦略です。

消費者が多くいる都心部に高いコストをかけて狙うよりも、
これまで以上に「コストパフォーマンス(収益性)」を意識して
優位性のある郊外や地方に成長の機会があるとの判断です。

これまでの通常の利用者に加え、
新たな顧客層を巻き込もうとしている
マクドナルドの新戦略は、
マックカフェ、コールドデザートのコーナー、
デリバリーサービスの機能を店舗に併設することも
進めています。

商品だけではなく、店舗そのものの魅力を高めることで
「脱!低価格戦略」を目指す。

すなわち、

安易な値下げで価格競争に向かうのではなく、
店舗全体としての雰囲気を向上させ、
これまでと違う、高価格志向の商品提案をしながら、
価格を上げた上で、「高い満足感」を感じて頂く


という戦略ストーリーが読み取れるのです。


天崎 拝


◆今日出逢った素敵な言葉◆


ひとつ一つの打ち手は、

決して奇策ではありません。

戦略に、「消える魔球」などは、

存在しません。



image_20130630163324.jpg

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