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アリストテレスの教え


アリストテレスの教え


アリストテレスによれば、
人を説得要素は3つあります。

それは、「エトス」「パトス」「ロゴス」です。

エトスとは、信頼

英語のEthics(倫理)の語源であり、
人と人との信頼関係が深まれば、
相手を説得することができるということです。

パトスとは、情熱

英語のPassion(情熱)の語源であり、
まさに熱い思いが人を動かす、ということです。

そして、ロゴスとは、論理

英語のLogic(論理)の語源でもあり、
理論や理屈で人を説得することです。

アリストテレスはこの三つを
人を説得する要素としています。

例えば、あなたがマネージャーで、
あなたのチームに、
業績の悪い営業マンがいたとします。

あなたは、どういう話をしてその営業マンの士気を上げ、
業績をアップできるでしょうか。

あるマネージャーは、こう言います。

「あなたの実績は昨年がこうでした。
   これだけの活動をしたら、
   こういう成果につながるなずです。
   だから、ここから始めましょう。」

これは、データをベースにした
ロゴス(論理)での説得になります。

確かに理路整然としていますが、
キャリアの長いこの営業マンは、
「わかりました」と言いつつ、
どうも納得はしていないようです。


別のマネージャーは、こう言います。

「この業績が続くと収入も下がって、
   仕事が続けられなくなってしまいます。
   家族もいるのだから、
そんなわけにはいかないでしょう。
大至急手を打って、改善してゆきましょう。」

危機感をあおって、
パトス(情熱)に訴えて、
熱く語っています。

「確かにその通りです。
辞めるわけにはいかないので、
頑張ります。」

そう返事はするものの、
どうも乗り気でない様子です。

そして、
もう一人のマネージャーはこう言います。

「私はあなたのこれまでの努力を見て来ています。
   私はあなたを100%信頼していますから。
必ず乗り切っていけます。」

さて、こう告げられた営業マンの気持ちは、
どうなったでしょうか。

私を心から信頼してくれているのだと
感じた時に人は、どのような反応をするでしょうか。

これこそが、エトス、信頼です。


エトス、パトス、ロゴスは、
いずれも重要です。

本当に人の心を動かすにはすべて必要なものです。

ただし、
この三つには順番があるように思います。

正確に言えば、
その人の状況によって、
順番が異なってくるのです。

例えば、
この営業マンが、入社し立ての新人であれば、
ロゴスに訴えて、
何をどうすべきかをしっかりと
細かく指示しなければなりません。

また、テンションが落ちていたり、
キャリアもそこそこあって、
少し慣れや飽きが出てきて、
気が抜けて業績が落ち込んでいるのであれば、
パトスに訴えて、
情熱を注入すれば、
復帰できるかもしれません。

しかし、
キャリアも長く、
またしばらく低迷が続いている人には、
ロゴスやパトスは無力のことが
多いのではないでしょうか。

そういうキャリアのある人であれば、
初めにエトス(信頼)が来なければなりません。

なぜなら、過去に必ず努力した時期があり、
また栄光とも言える時期も経験しているからです。

今この時の業績が悪い、
今この時の仕事への取り組みが甘い、
それだけを見て、
その人の全てに問題があるとは判断できません。

むしろ、必要なことは、周りからの信頼です。
そして、自分自身への信頼の回復です。

このような状況の人ほど、
自信を失っており、
自分自身の力を信頼できなく
なっていることが多いのです。

ですから、まずつくるべきは、
信頼関係です。

そして、
自分自身への信頼、
つまり、自信です。

お互いの信頼関係がなければ、
ロゴス(論理)で説得しても、
人の心は、動きません。

パトス(情熱)も同じで、
ただ感情に訴えても
心には響きません。

まずは、エトス(信頼)、信頼すること。

信頼の心で接すると
自ずと相手に対して
なんとかしてあげたいという思いが
ふつふつと湧いてきます。

信頼の上に、
思いをのせてパトス(情熱)を込めて、
接することになります。

そして、互いに信頼し合い、
熱い心で接するからこそ、
ロゴス(論理)が本当に
腹に落ちてゆくのだと思います。


私たちは、
エトス、つまり信頼することで、
初めて心が動かされるのではないかと思うのです。


天崎 拝





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(2011/03/25)
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