意志あるところに、道は開ける

意志あるところに、

道は開ける



私は、いつも決まった書店、
丸善本店に定点観測にゆきます。

そこに並んでいるビジネス書籍、
文芸書などを歩きながら見るだけで、
世の中の動きや人々のニーズを
感じ取ることができます。

しばらく前に、
こんな本が売れていました。


『学年ビリのギャルが１年で
偏差値を40上げて
慶應大学に現役合格した話』

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話 (2013/12/26) 坪田信貴 商品詳細を見る

茶髪に女子高生の写真が表紙の本で、
全くビジネス書籍のコーナーには
ふさわしくない装丁でした。

逆に、その違和感に惹かれて
手に取ってしまいました。

主人公は、
名古屋の私立高校に通うさやかさん。
偏差値30、つまり、
だいたい小学4年生の知識レベルの女子高生でした。

ちなみに、
偏差値30というのは、
全国で受験生が約70万人いるので、
下位2％、大体68.6万番目より下にいる状態です。

慶應義塾大学は、合格ラインが、
偏差値70以上で、これは上位2％。

つまり、彼女が、慶應に合格するには、
この1年で67万人以上を
ごぼう抜きする必要がありました。

普通に考えると、「不可能」なことです。
市民ランナーがオリンピックで、
金メダルを取るのに近い世界です。

では、さやかさんは、
なぜ合格したのでしょうか。

それは、ある塾先生との出会いでした。

最初の場面で、先生は、
「よろしくお願いします。」という最初の挨拶で、
意外に素直な子だと感じたそうです。

素直であることは重要です。
新しいことを受け入れる素直さは、
営業の世界でも、重要です。

さやかさんが、
「聖徳太子」を見て、
「せいとくたいこは、ブスでかわいそう。」
というのを、先生は面白いと
腹を抱えて笑いましたが、
バカにするのではなく、
この大人は信用できると思ったそうです。

このお互いの信頼関係も、
必要な要素です。

そして、その上で、
大切なことは、先生も母親も、
さやかさんが慶應に合格すると
「本気で」期待していたことです。

その結果、
さやかさんは、無意識のうちに、
どんどんその期待に応えて、
学力を伸ばしていきます。

これをピグマリオン効果と言います。
本気で期待をかけるとそれがプラスに働いていくのです。

この他にも、いろいろな技法を使っています。
例えば、「ステップ法」という暗記法。

まず、１を集中して覚えたら、
次は２を覚える。
次に、１、２の記憶内容を声に出す。
それが言えたら、３を覚えて、
１、２、３の記憶内容を声に出して復唱する。
最後に全体を声に出してみる。
これをくり返すと記憶に定着するという方法です。

営業マンが、セールストークを覚える時も、
この方法を使うと効果的です。

受験が近づき、さやかさんが、
ボロボロになった英和辞書を差し出して、
「先生、この辞書に、何か一言をお願いします」
と言ってきます。

先生は、そこに英語で一文を書きました。


Where there is a will, there is a way.

意志あるところに、道は開ける。

彼女と先生は、
その意志を貫いて、
みごと慶應に合格したのです。

素直であること。
必ず成功できると期待し、
互いにそれを信じること。

日々の積み重ねの中で、
自信を育てていく。

そして、
最後まで意志を貫いていくこと。

Where there is a will, there is a way.
意志あるところに、道は開ける。

それを信じれば、
私たちも、個人として、
また、チームとしての意志をひとつにして、
道を開いてゆけるのです。


天崎 拝


P.S

こんな本も、売れています。

偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法 角川SSC新書 (2013/05/10) 杉山 奈津子 商品詳細を見る