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安岡正篤氏に学ぶプロフェッショナルの「思考の三原則」

私は物事を、特に難しい問題を考えるときには、

いつも三つの原則に依る様に努めている。

 第一は、目先に捉われないで、

     出来るだけ長い目で見ること。

 第二は、物事の一面に捉われないで、

     出来るだけ多面的に、
     
     出来れば全面的に見ること。

 第三に、何事によらず枝葉末節に捉われず、

     根本的に考える。


               安岡正篤





安岡正篤氏は、今の「平成」の元号の発案者であり、
太平洋戦争終結の「玉音放送」草案を執筆したことでも
知られています。

長く政治家のアドバイザーとして活躍し、
主に東洋宰相学、帝王学を説き、
多くの政治家の「精神的指導者」「御意見番」であり、
「首相指南役」でもありました。

安岡氏は、物事を考えるときに、
3つの原則があると言っています。

私は物事を、特に難しい問題を考えるときには、
いつも三つの原則に依る様に努めている。

 第一は、目先に捉われないで、
     出来るだけ長い目で見ること。

 第二は、物事の一面に捉われないで、
     出来るだけ多面的に、
     出来れば全面的に見ること。

 第三に、何事によらず枝葉末節に捉われず、
     根本的に考える。

物事によっては、その結論が全く正反対ということ
になることが少なくない。

我々は難しい問題にぶつかる度に
此の心掛を忘れてはならぬ。


「安岡正篤一日一言」


安岡正篤一日一言―心を養い、生を養う安岡正篤一日一言―心を養い、生を養う
(2006/05)
安岡 正篤

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長期的に考える


ものごとを考える時に、
近視眼的に見てしまうことはよくあります。

問題が今、目の前で起こっている訳ですから、
それをすぐに解決しようとするあまり、
先のことは後にして、今この時の状況に
どう対処するかだけを考えてしまいがちです。

しかし、短期的な視点と長期的な視点が、
矛盾することが往々にして起こります。

例えば、
短期的な売上や採用の量的拡大と長期的な質の向上。

目先の売上を上げることだけを考えれば、
大量にセールスパーソンを採用し、
頭数を増やしてとにかく売らせれば、
不可能ではありません。

しかし、そんなことをしてしまえば、
人は育つ訳がありませんし、
結果的に多くの脱落者を生み、
セールスの質も下がってしまいます。

ですから、大量採用は短期的に見れば、
売上に貢献するかもしれませんが、
長期的にはセールス部門の弱体を招き、
それを元通りに修正するには、
大変なエネルギーと時間を要します。

こういう理屈がわかっていても、
短期的な売上や成果を求められる企業では、
往々にして起こりやすい問題でもあります。

ですから、長い時間軸で物事を考えることは、
非常に重要であり、安岡氏が言うように、
答えは全く正反対になることも少なくありません。

後継者を育てるという問題も似ています。

経営者は、今この時の経営に責任があり、
それを全うすることだけが優先されることが多くみられます。
そうして時を過ごすうちに、後継者が育たず、
これから会社がどのような状態に向かうのかということまで、
見通しがなくなってしまっている企業が、多いのも事実です。

事業承継という言葉が、最近特に目立ってきていることは、
まさに後継者育成の問題でもあります。

企業に限らず、私たちの人生でも、
目先のことに捉われずに長い目で見ることが必要です。

目の前にある問題が、
できれば避けて通りたいものであっても、
人生80年という長い目で見れば、
ほんの一瞬の出来事であり、
小さな問題に過ぎないと気づくこともあります。

またその道を進むことで一時的に、
難しい状況に陥るかもしれません。

しかし、その道を選択する方が
将来の自分にとって価値があると考えれば、
その道を選ぶべきでしょう。

私は、数年間海外の仕事に携わりましたが、
海外での会社の立ち上げや経営が行き詰まった会社の
建て直しなどを行ってきました。

いずれも責任が重大であり、
あえて難しい道を選ぶ必要もありませんでした。

しかし、日本にいる限り、起業と再建という
まったく異なる経営課題に取り組めるチャンスは
ほとんどありません。

長い目で見れば、経営を学ぶ機会であると考えて、
その道を選びました。

失ったものもありましたが、
それ以上に多くのものを得たと確信しています。


多面的に考える


セールスが成功しなかった時に、
顧客が悪い、商品が悪い、
景気が悪いなどと言う人がいます。


物事をこちらのサイドからだけ、
一面的に捉えてしまっており、
本当の理由がわかっていない、
単なる言い訳にすぎません。


セールスに限らず、
ビジネスを進めてゆく上で、
お客様や取引先、仕入先、株主、
経営者、社員とその家族など
関係する人々のの立場立って
考えることは重要です。


また社内の人とだけ話をしていると
思考方法や考え方は似てきますし、
ルール、判断基準、コード、
常識のようなものが出来て、
いわゆるモノカルチャーになってゆきます。

そのビジネスやビジネスモデルが
成功すればするほど、
また外部から賞賛されればされるほど、
良くも悪くも、このカルチャーから
逸脱することができなくなります。

そして新しい思考方法を手に入れることが難しくなります。


それでは、新しい思考方法、多面的な思考方法を
手に入れるためには、何をすべきでしょうか。


非常に単純なことですが、3つの方法があります。

まずは、本を読んだり、Webの記事やブログをで読んだりすること。

二つ目は、外部の人の話や意見を聞きにいくこと。

三つ目は、セミナーや講演会などに参加して、直接話を聞くこと。



ワタミの渡邉美樹氏は、自身の多面的思考のベースとなる体系は、
マイケル・ポーターとフィリップ・コトラーと、ピーター・ドラッカーであり、
その他の余計なものはいらないと言っています。

そう信じられる心の師、メンターを持つまで、
多くの書籍を読み込むことが大切です。

そして、会社以外の友人や異業種の人たちの話を聞いたり、
facebookやTwitterなどを介して意見交換するなどして、
多くの人の意見を聞くことです。

この際に重要なことは、
素直に、謙虚に傾聴する姿勢です。

会社の常識は、社会の非常識と言いますが、
自分の持っているビジネスモデルのルールが
そういった周りの人たちにとっては、
奇異に映ることもありますし、
否定されることもあるでしょう。

大切なことは、それを素直に、
謙虚に、聞き届けることができるかどうかです。

じっと傾聴していると、
新たなヒントやアイデアにつながってくることが
出てくるはずです。

また、自分が読み込んだ本の著者や
著名な有識者から、直接、意見や話を聞くことも
重要です。

セミナーや講演会に参加したり、
大学院に入学して、講義を受け、
直接薫陶を受けることも可能です。

私も、セールスマネージャー時代に、
壁に当たった時期があり、
その時に書店で出会った本が、
田坂広志氏の『暗黙知の経営』でした。

それがヒントになって、
壁を乗り越えたこともあり、
その後、田坂氏の著作を読み続け、
心の師として、私淑していました。

それから、数年後には支社経営を任されて
さらに大きな組織を抱えて奮闘していました。

ちょうど4年目に、田坂氏の公開講座があり、
そこに1年通い、直接話や考えを聞く機会を得ました。

そして、翌年、大学院で直接指導を受けるために、
大学院に入学し、直接薫陶を受ける機会を得ました。

また、大学院では、同じような起業や
プロフェッショナルを目指す同志を得て、
多くの仲間たちから学ぶ機会を得ました。

知を求めて行けば、スパイラル状にチャンスが
広がってゆくことを体験することができました。


根源的に考える


トヨタのカイゼンを徹底的に行うために、
問題が出てきた時、
「なぜできたのか?」を徹底的に
深堀りしていくことで、
企業体質や従業員の意識にまで
到達するような根本的な解決にまで
突き詰めてゆこうとする考え方です。

トヨタでは、Whyを5回繰り返せ、
Whyの5乗といっています。

Whyを5回繰り返してゆくと、
本質的な問題の根っこに突き当たり、
それを解決することが、
他の多くの問題解決にもつながってゆきます。

もう一つの方法は、企業理念、
あるいは創業哲学などのコアになる哲学に
照らして考えることです。

例えば、私の会社には、Core Valuesという
社員の行動指針が4つあります。

私は、仕事をしていく上で、問題に当たった時、

この4つコアバリューに照らして考えると、
何が正しいのか


と考えるようにしています。


また、海外で仕事をしていた際に、
ビジネスモデルを現地の状況に合わせて
修正や改善を加えなければならないことがあり、
その時には、

創業社長であれば、どう決定するだろうか

と常に考えていました。

Back to the basicsと言いますが、
迷った時には、基本に立ち返ることが重要です。

その意味で、立ち戻るべき、
基本、哲学、理念などを持っているかどうかが、
企業にとっても個人にとっても重要になります。


ワタミの渡邉氏も、

日々いろいろな決断を迫られたとき、
常に「地球上で一番たくさんの
“ありがとう”を集めるグループになろう」
という経営理念に立ち戻って確かめることだ


といっています。


この「思考の三原則」、

 長期的に考える
 多面的に考える
 根源的に考える


という3つの側面から常に考えてゆくことは、
優れた経営者の条件であり、
プロフェッショナルの条件であると思うのです。



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